武蔵美人むさびと

企業で活躍する若手 OB・OG 紹介 “むさびと”

株式会社博展高橋匠
株式会社博展高橋匠
株式会社博展高橋匠

取材:2014年4月

高橋 匠(たかはし・たくみ) 2010年、工芸工業デザイン学科卒業。 入社直後から積極的に多くの案件に関わりスキルアップ。紹介した日本製紙グループのブースは、社内表彰で顧客とのよい関係を築いた案件に贈られる『クライアントファースト賞』を受賞した。
受賞歴:『DSA日本空間デザイン賞2016 BEST50賞』、『年艦ディスプレイ産業賞2016 ディスプレイ産業奨励賞』

「面白そうな匂いに、黙っていられない」
まっさらな案件に躍る心

 イベントや展示会を軸に、広く企業のマーケティング活動をサポートする会社、博展に入社して5年。高橋さんは成長著しい空間デザイナーとして、社内外に認知されつつある。大型コンベンションのブース、店舗やショールームのデザインなど、高橋さんの手掛ける案件は年間数十本超。うち、かなりの数がコンペで勝ち取った仕事だという。「多い時は週2本ぐらいコンペを挟みつつ既存案件を進行するので、確かに大変な時もありますが…実は僕、コンペも結構好きなんです」と、高橋さんは快活な表情だ。

 自ら手を挙げればまかせてもらえる風土がある同社で、新人時代から、興味を抱いたらどんどん名乗りを上げ、チャレンジしてきたという高橋さん。その好奇心と積極性は、学生時代にルーツがあった。
 「武蔵美生って、興味を引かれたものには自然と群がってくるでしょう。自分の課題じゃなくても、みんなでよってたかってワイワイ意見を出し合って…その結果、いい作品が出来あがった経験をたくさんしてきたから、面白そうな匂いがしたら黙っていられない。特にコンペは、まっさらな状態から考えて提案できるチャンスですからワクワクしますね」

ひとりじゃ出来ないことが出来る
それが会社、チームで働く醍醐味

 昨年高橋さんが高い評価を得たのも、コンペで獲得した案件だ。
 「エコロジーイベントに日本製紙グループが出展するブースだったのですが、製紙会社って、紙だけでなく非常に多岐にわたる製品を手掛けているんですね。そのため過去に参加した際は製品紹介に終始してしまったそうです。僕らに託されたのは、オリジナリティがあり、お客様が興味を持ってくれるブースづくり。営業やプランナーを含め、6人のチームでアイデアを出し合いました」
 侃々諤々の末、博展チームが提案したのは紙の原料となる“木”にテーマを絞った丸太風のブース。丸太の中をくぐったり、覗いたりというアクションを取り入れながら、クライアントがどのように“木”と深く関わっているのかをアピールし、見事採用された。
 さらに高橋さんは会期中、毎日のように会場に足を運び、来場者の反応をリサーチ。B to B企業である博展の社員でありながら、クライアントの先にあるB to Cを意識して現場に通いつめたその熱意は、今年度のリピート受注へとつながった。
 「アイデア出しはもちろん、デザイン、施工、予算のコントロールなど、かなり難しい案件でしたから、ひとりでは絶対出来なかった。でも、仲間と一緒に前向きに取り組んで、クライアントにも喜んでもらえて…こういうのが、チームで働く醍醐味ですよね」と目を細める高橋さん。
 まっさらだから、心躍る。難しいから、面白い。意欲溢れる仲間とともに、高橋さんは今日も挑み続ける。

上司が語る武蔵美力

南正一郎
際立つ“人との近さ”
南 正一郎

クリエイティブ局
アートディレクター

 デザインセンスもさることながら、相手と近く、深く関わろうとする姿勢が彼の魅力。しかもその、グッと踏み込んだ距離感が好意的に受け入れられる自然な愛嬌があって、クライアント自身も気づいていなかった想いや本音を引き出してくることがあります。
 クライアントといい関係を築いていることは、年々リピート案件が増えていることからも裏付けられますね。彼と組んで仕事をする仲間も楽しそうです。