取材:2011年6月
西野 香織(にしの・かおり) 2009年、デザイン情報学科卒業。
HTMLおよびCSS制作の担当者として、『@nifty』トップページや『@nifty』トップβ版、ニフティ25周年記念サイトなどのコーディング・企画に携わる。
面白そうな企画。カッコいいデザイン。
なのに、なぜか“見づらい”Webサイトがある。おそらくそれは、コーディング※に問題があるからだ。
「ソースコードの書き方ひとつで、サイトの“手触り”が変わるんです。画面の表示スピードとか、ボタンの押しやすさとか。些細なことのようだけど、閲覧者がストレスを感じたら、サイトを見てもらえないから」
西野さんは企画の段階から会議に参加して、コーディング上の問題点や解決策、新しい技術を用いたアイデアを出していく。より多くの人にとって心地よい“手触り”を意識し、実現できる西野さんの意見は、ディレクターやデザイナーにとって、欠かせないものだ。
「最終的にサイトを動かすのはコーディング。私の仕事次第で企画やデザインがうまく伝わらないことだってあると思います。見てくれる人たちの快適さを考えながら作るのは面白いし、それでアクセス数がアップすれば本当に嬉しい」
ただ文字列を打ち込んでいくのではなく、画面の向こうにいる誰かを想う想像力があるからこそ、Webサイトに息吹を吹き込むことができるのだ。
西野さんにとってWebサイトの制作現場は、武蔵野美術大学の放課後を思い出させるという。ディレクターやデザイナー、そしてコーディング担当者など複数の人間がおもむろに集まり、モニターを囲んで意見交換する光景が、作品について賑やかに語らう学生の姿と重なるのだ。「武蔵美生は、Web業界の雰囲気にマッチしていますよ」と語る理由がそこにある。
「大学で、友達とワイワイ話しながら制作していたのは、一人じゃわからない客観的な指摘をもらって作品のクオリティを上げたかったから。仕事でも、そんなふうにして良いものを作りたいと思っているんです。各分野のプロが協力して作り上げるWeb制作が、今は本当に面白い」
西野さんが社内で有志を募り、勉強会を開いているのも「一人より、大勢で問題を共有して解決策を出し合うほうが効率的だから」だ。いわば人と人との“マッシュアップ”。複数の技術・コンテンツの掛け合わせで新しいモノを生み出すという意味を持つこの言葉が、大学時代から培ってきた西野さんのワークスタイルをよく表している。
「同じ目標を持った人たちがいるから、盛り上がるし、楽しい」
武蔵美の放課後、仲間たちと夢中で制作に打ち込んできた西野さんは、人との関わりを楽しんでこそ良い結果が生まれることを知っている。
人事部(※2011年6月取材当時)
相手はもちろん自分も含めて、俯瞰して見られるのは貴重なセンスだと思います。チームの中で、自分の能力や役割を素早くつかみ取れるし、どんなに成功しても思い上がるところがない。
そして、おそらく武蔵美で制作を繰り返す中で鍛えられたのでしょう。自分の問題点を悟って解決策に結びつけられるだけでなく、解決までもっていけるパワーがあるし、向上心も持っている。この若さで、安心感のある人材です。
社会人としての高い完成度
瀬津 勇人
プラットフォーム統括部
クリエイティブデザイン部 部長(※2011年6月取材当時)
ひたむきで、丁寧で、情熱的。それでいて複数の仕事を同時に処理する力もある。彼女は社会人としてのベースがしっかりしていますから、社内でも高い信頼を得ています。それに加えて、美大出身者らしく、考えてモノをつくる癖が身についているので、単なる作業者にならずに全体を見ながらアイデアが出せる。技術、知識、全体観を備えた彼女のような人材は、Webサイトの制作現場には欠かせません。