武蔵美人むさびと

企業で活躍する若手 OB・OG 紹介 “むさびと”

株式会社サイバーエージェント松本俊介
株式会社サイバーエージェント松本俊介
サイバーエージェント松本俊介

取材:2018年6月

松本 俊介(まつもと・しゅんすけ) 2015年、基礎デザイン学科卒業。
3年次に参加したインターンシップを経て、同社に入社。新人ながら優れたUIデザインのセンスを見出され『AbemaTV』のスタートアップメンバーに選ばれる。現在はスマートフォンのUI実務を担当しつつ同メディアのUIリーダーとして、戦略会議にも参加している。趣味は映画と最新のデジタルデバイスいじり。

「デザインって、面白い」
未来につながる転機は大学2年

 美術教師の父を持ち、絵を描くのが好きだからと漠然と美大を志した少年が、デザインの面白さ・深さに目覚めたのは大学2年の時。その日のことを、松本さんは今でもはっきり覚えている。
 「授業で“金魚”という課題が出たんです。その時つくった、金魚を円グラフで表現したポスターを、尊敬する先生が『いいよ』と言ってくださって。テーマが決められているなか、頭をひねった作品が褒められて…デザインって難しいけれど楽しいなと実感したのは、あれがきっかけだったと思います」。
 ちょうど同じ頃、親しい先輩が在学中に起業し、彼は時折その仕事を手伝うようになった。学生ながら意欲的な案件に数多く関わっていたその人物が“いま面白いことをしかけようとしている会社”と注目していたのが、株式会社サイバーエージェント。スマホの普及とともに日本屈指のソーシャルメディアサービス企業へと急成長しつつあった同社が、松本さんの職場になった。
 主な仕事は、インターネットテレビ『AbemaTV』のUIデザイナー。多彩なコンテンツやサービス機能と、デバイスの向こうのユーザーをつなぐ、ユーザーインターフェイスを構築するのが彼の役割だ。

スマートフォン、タブレット、パソコン。さまざまなデバイスで、いかに快適にインターネットテレビを楽しんでもらうか。
その“使い勝手”の部分を、松本さんたちUIデザインチームがコントロールしている。
AbemaTV(アベマTV)

より高い目標達成を
デザインでかなえられる人に

 松本さんは入社わずか3ヶ月で、当事開局準備中だった『AbemaTV』のスタートアップメンバーに選ばれた。通常いくつかの部署をローテーションし、適性を見て配属が決まる中での異例の抜擢だったという。
 「研修中の課題を見て、UIに向いていそうだと判断されたようです。いきなりの指名に正直びっくりしましたが、可能性があればまずチャレンジさせてみる、そういう会社なんですね。デジタルデバイスやネットは大好きだったから、自分ならこんな風に使えたらいいなと思い描いたデザインが、たまたまはまった。就活もですが、運や縁で人生が変わるタイプみたいです」と松本さん。
 近年のWebメディアは、コンテンツ自体の魅力もさることながら、サービスを利用するまでの操作が煩雑になると、たちまちユーザーが離れてしまう。直感的な操作でいかにスムーズに目的の番組まで誘導するか、ストレスなく視聴させ、話題に上りやすくするか。それらすべての根底を支えるUIデザインの世界へ、松本さんは手探りで飛び込んだ。
 無我夢中でこぎつけた2016年春の開局から2年。新人だった松本さんはUIデザインチームのリーダーとなり、『AbemaTV』はアプリダウンロード数3,000万超という大人気メディアとなっている。
 「よく耳にするユーザー数、PV数に加え、お気に入り登録数やSNSの反応など、ITメディアを評価する数字は無数にあります。UIにもまた“この数値をもっと伸ばすには”という戦略的な提案が求められるし、変更がどんな効果を出したのかも、即座に分析される。プレッシャーもありますが、とても刺激的です」。
 2週間に一度というハイペースな改善・更新を担当しながら、会社がめざすより大きな目標に、デザインの力で貢献しようとする意識が芽生えた松本さん。メディアの発展と足並みを揃えるように、彼の成長も続いていく。

新卒研修でのスマホアプリ開発の課題。デザイン画だけでなく、動画で操作方法をプレゼン。その卓抜したセンスが注目された。

上司が語る武蔵美力

佐藤洋介
「静と動」のスキルで創造するユーザー体験エクスペリエンス
佐藤 洋介

執行役員
クリエイティブ統括室 室長

 松本くんはインターンシップに来た当時から、デザイン・映像どちらのスキルにも長けていました。“UIを動的に表現できる”彼のセンスは、フレッシュなユーザー体験を創造しようとする新事業にふさわしい。そんな想いで新卒研修を特例で繰り上げ、立ち上げ前の『AbemaTV』にUI担当として参画してもらいました。今後はリードデザイナーとして、多くのスタッフを率いる存在に成長することを期待しています。